Back to text top

絶版
東京のモリオも交え「巨人は王者かどうか」で激論。そのノリをそのままパッキングしたのがアナモマニア第2号。わずか100部でありながら反応の大きかった「藝術ウンコ論」にくらべ、第2号は反応ゼロ。やはり野球では・・・
というわけで第3号では北海道のBOO氏を加えた4人で「エロス」論をやりかけたがいつのまにかただのエロ論議になり挫折、そのまま幻のペーパーとなった。

DATA
フリーペーパーアナモマニア第2号
1999年11月発行

プロ野球の明日

 

 

text:フジガキアツ+タケムラナオヤ+モリズミヤスヒロ

アツオ:読者の皆さま、お待ちかねの『ドンドーン!桃色野球対談』のお時間です。今日はすてきなゲストをお迎えしております。

まずは「野球するなら金をくれ!」のタケムラさん。タケムラさんはヤクルトスワローズの春季キャンプ地、南国土佐にお住まいです。そして我らがリトルリーガー、「野球するなら酒をくれ!」のモモリさんです。彼の剛速球に当たると痛いですよ。
さて今回の対談は日頃野球に対して抱いているアツ〜い想いと恨みつらみがテーマです。あの日あの時流した苦い涙、見せてもらいましょう。ではまず竹村さんから。ドンドーンとぶちかましてください。おっと、私は「野球するなら道しるべ!」のアツオです。

タケムラ:どうもどうも。まーまず言わせてもらうとですね、我が高知はユマじゃないわけですよね。いくら南国だからって、いくら島だからってそれはひどい。高知は虎と西武とダイエーなわけですから。しかしやっぱすごいですよ、西武だけで50億の高知県への経済効果があるとかいうんですからね。まー野球については一言も三言もありますよ、はい。特に長嶋さんについてとか、高校野球とかなんですが。何はともあれ、よろしくお願いします。で、モモリさんと野球のなれそめは?

モモリ:実は野球なんてどうでもいいんですよ。特に今の時期は。オフだからっていうのもあるんですが、西武のルーキーとかよりも小野伸二ですから。
そう言えば、プレステでJリーグのゲームがありまして、我が浦和レッズはただいま破竹の四連勝をして赤い波にのっているところ。サッカーゲームなんて、ファミコン以来ですからね。野球ゲームがそれこそ「燃えろ」シリーズで忠実な姿かたちとプレーを実践して失敗に終ったのとは逆に、今あるサッカーゲームはこの見事なモーションキャプチャーで成功しているんです。野球の方はと言うとご存知の通り、極力ディフォルメされた球体型とボールとバットとがあればそれで楽しめる。実際の野球が単純なものとはいえませんが、これはゲームにみる何とかで、楽しむってなると野球は原始的な見せ物(見るもの)なんだと思いますね。だから、少年野球もテレビで見てから入りましたから。やる前にボールがあったなんていう、南米のサッカー小僧とは違うわけです。なれそめは父親との観戦につきます。

アツオ:おお、のっけからお二人とも熱いですね。まずはタケムラさん、高知とユマを間違えてごめんなさい。野村=ヤクルトの図式はもう消滅したんでしたっけね。ああ、しっかり君が見えない・・・いやいや、気を取り直して。そうですね、私のなれそめも父親とのテレビのナイター観戦でした。当時、野球は今よりも国民のハートをがっちりキャッチしてましたからね。当然その盛り上がりに幼かった私もすっかりのみ込まれてました。というか当時は子どもにテレビの主導権なんて無かったですから。ゴールデンタイムはナイター、と。ショウ的には最高の素材だと思うんですが。でもそれをリアルなテレビゲームに起こすと失敗する、そりゃどういうわけでしょう?やいそこの爺さん! やっぱり野球は観るに尽きるんですか? 

タケムラ:やっぱ私は実戦を見る派ですね。ルールをそれほど把握しているわけではないのでテレビよりつまらないところもあるのですが、やっぱりファウルボールには気を付けるし、ウェーブにも乗らないといけないし。大体阪神巨人戦なんか見に行ったら虎キチたちすごいパワーですよ。巨人のフラッグを燃やしながら六甲おろしですよ。大負けしててそれなんですから、勝った日はどうなのかなって思いますよ。まあまだドームもない時代の、後楽園球場での出来事なんですが。

モモリ:後楽園球場には僕も行ったことがあります。初めて生で野球が観れるとあってそれは胸が踊ったことを覚えています。巨人ー広島戦、定岡が打たれて負けました。
でもどうでしょう。球場でひとつひとつのプレーを楽しむっていうのはあまりないんじゃないでしょうか。応援こそが楽しみというのを別にして。大体、ファールボールでもホームランでも、上に飛んだ打球はどこに落下するのか球場では予測できないですからね。関係ないですが。
球場では応援と雰囲気、テレビでは純粋にプレーや戦略を楽しむ。これはホント別れると思いますよ。

アツオ:そりゃそうでしょうね。やっぱりテレビのカメラワークにはかないませんよね。でも私じつはプロ野球の公式試合を球場で観戦したことないんですよ。何でもいいから行きたいものです。
ところであれですね、関西に住んでると、毎朝のスポーツ紙の見出しに「ノムさん」の文字が踊り踊って鬱陶しいですな。「ノムさん、風邪!? だいじょうぶ〜?」とか。息苦しい。でも確実に士気は上がってますよね。始まってみないとわからないけど、やっぱり監督って大事ですね。お、「監督」の一言で竹村さんがムラッと来たようです。

タケムラ:監督って確かに大事なんですよ。士気を鼓舞することのできる監督。それが名監督ってものです。阪神の場合は底力がなさすぎるからアレなんですけど、名監督たる者は最大限の力をチームから引き出してあげることができる人物なような気がします。ノムさんなんてのはその最骨頂ですよ。で、長嶋監督はその逆の愚の骨頂ですよ、アンチ巨人としてこれだけは言いたい。例のメリケン言葉では鼓舞なんかできませんからね。せいぜい原コーチくらいじゃないんですか、その気になるのって。

モモリ:竹村さんよくお知りで。その通り、原は根っからのバカですからね。NHK御用達の解説ではそれを日本中に披露しました。かいあって国民は疲労しました。まあそれはいいとして、「監督」たる野村さんと長嶋さん、実際選手たちはどう思っているかと言えば、何かしてくれるのではないかと伺い託すおとなしい野村阪神型に、頭を丸めりゃモチベーションぐ〜んとアップの長嶋巨人型。どちらも違う形で士気は上がるのではないかと思います。ただペナントレースを通じて、どこまで保てるか。それが優勝の条件になるんでしょうね。

アツオ:確かに。「いい選手」を根こそぎ取ってくくせに片っ端から「潰して」いくのは巨人軍の最もダメなところですね。監督が悪いのかチームのシステムが悪いのか。逆に言えば、それだけ巨人というチームに対する周囲の期待が大きいんでしょうね。ともあれ今年ダメならやめさせえられるのは確実ですから、さらに大変でしょうよ。でも竹村さん、私個人的にはミスターの「ズバーっと」「ザザーっと」などの擬音は好きですよ。使ってみてください、ホレ、なんか間抜けで元気になりましょう。しかもノムさんに魅入られた選手はチーム内では嫌われるという噂もありますよ。

タケムラ:そんなこたあ知りませんよ。擬音なんてものはね、結局選手を戸惑わすだけ。自分だったら「おいはっきり分かるように言え!」って胸ぐらをつかんでポイしますね。でも、今の栄光の巨人軍って、長嶋さんを夢見て野球はじめました、そんでもって気づいたらいつの間にか巨人入ってました、なんていう選手ばっかなわけでしょ、結局そんな擬音は当たり前なわけでしょうね。それで、その擬音っつーのがよく分からないから、結局選手もわけわからない。キヨマーとか誰でしたっけ、あのヤクルトから来たヒロオカじゃないや、とにかく自分の中では貴闘力なみにきらいな選手なんですが、あいつみたいな御馬鹿が育つわけですよ。
そんでもってとりあえずは金やんに喝入れられっぱなしで原スマイル見せまくってるだけの原コーチがどうせ次の監督でしょう。まあもう巨人の未来なんてものはないですよ。
私は個人的にはホワイトとか好きでしたよ。なんか名前的に。バレンタイン監督もなんだか名前的に思わずロッテを応援したくなったもんです。まあそれはいいとして、やっぱもう少しまともかつ言語能力のある人を監督に据えたら?って感じですよ。
私はね、決して昔は巨人軍は嫌いじゃなかったんです。行く試合はいっつも巨人戦ばかりでしたよ。中畑も倉さんもクロマティもいて、学校行くときは巨人の帽子をかぶってたもんですよ。いつの間にか沿線だってんで西武に変わってましたけどね。とにかく不甲斐ないんですよ。長嶋巨人ってものが。
私は一応西日本の人間ですからね、最終的には血的に巨人や横浜、ヤクルトロッテ西武は気にイランようになってきたんですが、東日本育ちのお二人としてはどうです?

モモリ:なんかね、こうして京都に四年もいるとやっぱ染みつくんですよ。ていうより東西を問わずどこでもある程度は愛着がもてるようになりました。別に温厚な人を演じてるわけでもないんですが、巨人を応援するとなったらマスコミに興じて自らを任せればいいんですからね。それは一番楽でここちいいです。例えば、野村阪神なんていったら今は一番旬ですから、蛸虎でも何のヤマシイ気持ちもなく入れちゃうでしょうしね。でも西武の松坂はあまり好きになれません。あのスマイルはどうも原とかぶりますからね。キラキラしすぎて気持ち悪いです。あっそういう僕も小学校低学年の時は地元だったので西武の帽子被ってましたけどね。高学年は荒井少年野球チームの帽子でした。

アツモ:はん、地元だ? 沿線だ? 何なんだよ。生まれも育ちも福島ですからね、地元チームなんてステキなもんは在りませんでしたよ! ケッ、そうさ、だから巨人なんだよ! 悪かったなあ。自民党と巨人は地方に勢力を伸ばすんだよ。自民党は嫌いだけどな。だいたい「昔は好きでした」とか言うな! 悲しいじゃないか!(と言ってオレンジ色のメガホンを投げ付け、立ち上がる)何だかんだいって気になるくせに!(靴を脱ぎ捨て、スカートをめくる)原もバカだけどホームランだっていっぱい打ったんだぞ!文句ばっか言うなア〜! 西も東もあるもんか!(躍り上がる)

アツオ:アワワワ・・・、た、大変だ・・・。アンパイア、アンパイア〜!

タケムラ:おいおいどこ行くねん! そうなんですよ、自民党=巨人。腐ってるってことですよ。いくら首をすげかえたってね、きっとだめなんですよ。もう。改革改革といっても、身にこびりついたプライドはそうどくもんじゃあないです。結局そのプライドが為せる技に期待してみんな巨人を応援するし、自民党に一票を投じる人がいるわけですよね。僕はねえ、そんなへっぽこなプライドが繰り出す技だなんて結局小手先だから好きになれないんですよ。そんなんだったら、できるかできないか分からないけどまずはでっかくアドバルーンを!っていう共産党みたいな野村蛸虎を応援します。松坂君は三翠園(高知の名門ホテル)に泊まってたので許します。やっぱ地元っすよ地元。アツモさんもせっかく大阪に移ったんだから、もうこの際六甲おろしを覚えましょうよ。ねえ。

モモリ:まあまあご両人、そう熱くならずに。自民党だとか三翠園だとかは置いとくとしまして、話を蒸し返すかもしれませんが、タケムラさんあなた一回ボケて誰からも突っ込まれずに淋しい思いしてません? 読者の方はなんて軽薄かつ鈍感な対談各者と思われたら嫌ですからね、ここで取りあえず突っ込んどきますけど、「あんた!ホワイトにバレンタインが好きだとか何とか言って、ホントはチョコレート貰えなかったこと根にもってんちゃいまっかー!?」・・・と。おいおい、余計な横槍が元禄繚乱の三つ巴の気配が・・。

アツモ:(ちり紙で作った兜をおもむろに頭に乗せながら)そうだそうだ! ひがむな! プロ野球はドラマだぜ!? プライド結構、小手先の技多いに結構じゃあねえか! だいたい「できるかできないか分からないけどまずはでっかくアドバルーン」だって結局地元のプライドって事で似たようなもんじゃねえか!(とうとう靴下1枚というあられもない姿になり)キーッ! モモリもそろそろその被ってるネコを捨てやがれ!

アツオ:(とっくに退場)

タケムラ:要は巨人がおいらは嫌いなんじゃ! 猫も杓子も巨人巨人! こーもみんなが言い出したらイヤになる。ドラマじゃねんだよ、あいつらの野球ってのは。おいこらモモリ! 良識ぶってねえで早く締めろ! それからアツオ! またどっかいきやがって! こら!

モモリ:あーそうかい。そうかい、そう来るかい。そんじゃこっちも黙ってらんねえ、てやんでいバーローちくしょー。巨人が何だ! オイラは巨人ファンだったが、どれだけ肩身狭い思いをしてきたことか。ちぇ。巨人ファンは人間じゃないとまで言われて、はや四年。アツオという良き関東人を仲間に入れたはいいが、もう誰の助けもいらねえ。元木! おい! お前、高校野球じゃ甘いマスクなんて言われてちやほやされて、こっちも羨ましい思いもしてないとは言えんが、アメリカ行って巨人に入ったまではいいが、髭が青くなるほど剃るんじゃねえやい! 何夢みてんだか分かんねえキラキラした目と髭が近づいてくると、こっちは応援してて間違いじゃなかったか不安になるじゃねえかい! べらぼうめ!

アツオ:(泣きながら戻ってくる。なぜかあざだらけ)もうやめてー! もういいじゃないか! みんな、喧嘩しないでよ! そんなことで揉めないで、みんなで今日のナイターを見ようよ! テレビの特等席に座って応援しようよ! ホラもうすぐ始まるよ。そうそう、タケムラさんもモモリさんも、にっこり笑って、アツモさんもホラ早く服を着て。さあ、仲直りだ! おーい母ちゃん、ビールだビール!

 

-----------ゲームセット

 

1999.2.5〜5.1 大阪→高知→京都 e-mail対談

▲top