必殺!
■
夏の夜、懐中電灯を握り、親父のぶかぶかのつっかけを履いて庭に出る。今から20年前、僕がまだ小学生の頃だ。植木の間を丁寧に一つずつ照らしてまわるが、それが居るところはいつも同じ。そしてそれは昼間には考えられない程体が伸び切っている。僕はそれを摘み上げ、コンクリートに投げつける。音はない。そして出来るだけ何も考えずにつっかけを上に置き、地面になすりつけるように足を後ろに蹴り上げる。心の中で「安らかにお眠りください」と唱える。嫌な感触が足と奥歯に残る。これが日課だった・・・(かこりん)
大家の庭
■
大家さんの畑を手伝うこと二年。一年目に大家さんが唐辛子を、僕がミントを植えた。二年目、唐辛子はミントに占領され、消滅した。ある日、出かけようとその畑の前を通ると、大家さんは無言で、怒った顔をしてミントを引っこ抜いていた。僕はその時、大家さんに声をかけられなかった。(吉川カズ)
箱の中身
■
いつも園芸用土は発泡スチロールの箱に入れている。植え替えの時に余った土などもそこにストックする。だから発芽しきれなかった種も土と一緒にストックされてしまうらしく、久しぶりに箱のフタを開けると、白くひょろ長いもやし状の、何だかわからない芽がもじゃもじゃ生えていたりして恐怖だ。(アツ)
死闘
■
今日、庭でめじろがけんかをしていました。遊んでいるのかと思いきや、馬乗りになって目をつつかれているじゃありませんか。可哀想に、縄張り争いか、餌の奪い合いか、順位決定か。。。自然は厳しい。我が家の庭もちょっとした野生の王国だと思いました。(あみこ)
九条葱の始末
■
いま育てているのは九条葱だ。すくすくと伸びていく速さは葱ならではである。あと5センチ伸びたらラーメンに入れよう。みそ汁に入れよう。湯豆腐にのせよう。そう想いながら日に日に成長していく葱をプチンと切れないでいる。(カオリ)
庭のおもいで
■
それまで実家の木々は生い茂り、他人に「化け物がでる」といわれる程ゴージャスな雑木林をつくっていた。この度、とある寺の裏に引っ越す事となったのだが、そこではボンボンいろんな物が燃やされ、移植した木々は見事に枯れちまった。寺よ、たき火は止めてください。(チホ)
食物
■
クラスに一人や二人、机に給食のパンを隠し持っている者がいた。パンはそのうち件の下等植物の苗床となるが、大抵は大掃除の慌ただしいさ中にもみ消されるものだ。しかし僕はそんな世話のかからない植物の大成した姿を見たいがために、クラス中の机をあさった。だが、それは世話の焼き過ぎだと女子に咎められることに。(モモリ)
淡き想い
■
ある日ふと見たベランダに、散らかした憶えのない何かの種がぱらぱら落ちていた。枯らしてしまったマリーゴールドの鉢にさっそく蒔いて、水をアゲアゲ1週間。隣の住人のインコちゃんの餌と気づいた僕のショックったらもう。(ヨウジロウ)
謎の種
■
ラベンダーの種を蒔いた。あまりにたくさん発芽したので、いちばん元気そうなのを残して間引いた。ぐんぐん育ったが一向にラベンダーの香りがしない。?と思いながらも育て続けて1年半、ようやくそれがラベンダーじゃないことに気づいた。おまけに台風で転げて枯れた。あれは何だったんだろう。(アツ)
|